大アルカナの4番目のカードになります。台座に深く腰かける、皇帝の姿が描かれています。赤い衣の下には甲冑が見え、その表情も険しいものです。白い髭は、経験豊富な老紳士を象徴しています。
そのたたずまいには、いつでも戦場に繰り出せるような猛々しさや士気を感じるでしょう。数々の戦や争いを経て、実力や功績を周囲にしめし権力を手にした一国の主です。
野心や闘争心が旺盛で、リーダーシップを発揮できる人物をあらわします。人が集まる場を統制する、組織のトップに君臨する者です。
皇帝、カードの絵柄通り男性性の象徴です。まさに、オス、男!と言う感じですね。堂々とし、自信があり、名前の通り権限と力、地位もある男性です。
リーダーの理想像と言うべき男性です。強い意志、男性側からのしっかりとしたリード、力強さを強く象徴します。
戦いのエネルギーを湛えた象意であり、正しい戦闘能力、統率力、組織力を示し、まさに軍司令官のような勇ましさの現れです。右手に持っているのはエジプトの神具(アンク)です。
「皇帝」の位置づけと基本的な読み方
インスタではライダー版、ユニバーサルタロット、ホワイトキャッツタロット、トートタロット、マルセイユタロット、アルケミアタロット6種類のタロットで皇帝を説明しています。
右にスライドできます。
皇帝は、人がつくった社会・現実世界を支配し守っていく強き者を象徴しています。支配とは、下に従う者の生活を守るという責任の上に成り立つものです。
状況をうまく仕切り、ルールを決めて管理していく厳しさを求められます。自分にも、他人にも厳しくある威厳や感情ではなくものごとを割り切って考える知性と理性が必要です。
ときには、国を守るために自ら戦に出陣するような、実行力や即戦力もかねそろえています。
皇帝の位置づけとしては、女帝と対になっていると考えて差支えありません。厳格な態度と闘争も表すことから、スポーツマンや経営者、社会的事業の成功なども表します。
4番目のカードとなりますが4という数字は安定を示すことからも、安定的で揺るがない意思、貫き通すエネルギーなどもこのカードで現れるでしょう。
下記はマルセイユ版の皇帝のカードです。最上部の画像のライダー(ウェイト版)と比較すると、向いている向きが違います。
「皇帝」のイメージをとらえるには?
皇帝の人物像は、野心や闘争心にあふれ、リーダーシップがあり、人を惹きつける力がある硬派なタイプ。たくましく男らしい、父親のような人物。
たとえば、芸能人でいうと高倉健さん、舘ひろしさん、渡辺謙さんの演じる姿は皇帝らしいです。ビートたけしさんや松本人志さんも、誰にも媚びることのないバッサリとした意見が、多くの人を惹きつけています。
女性ですが、天海祐希さんのキャラクターイメージも皇帝なのではないでしょうか。意志の強さ、凛としたふるまい、多くの人を惹きつけるリーダーシップを感じます。
アニメや漫画のキャラクターで考えると、ワンピースの「白ひげ」ことエドワード・ニューゲートが一番初めに思い浮かびました。
主人公のモンキー・D・ルフィも、リーダーにしたいキャラクターとして人気ですが、社会を統率し硬派で父性ある人物と考えるとちょっと違うかな…と。
他にも、SLAM-DUNKの赤木剛憲、ハイキュー!!の澤村大地もまだ高校生ですが、堅実で人望のあるリーダーっぷりは、皇帝そのものです。
「皇帝」と他のカードとの関係
皇帝は「人間が作り上げた社会」と「男性性」をあらわすのに対して、大アルカナ3番目のカードである女帝は「ありのままの自然や愛」と「女性性」をあらわします。
また、女帝は、皇帝の前のカード。後には、教皇(司祭/法王)のカードが続きます。女帝から影響を受け、教皇(司祭/法王)に影響をあたえると解釈できるのです。
女帝の実り多い母性的な流れから、実りが多くなったゆえに、民を守る責任が生じてくるのが皇帝のカード。
次の教皇(司祭/法王)の道徳的で穏やかな状況にいたるまで、強い指導力・管理能力によって掟がつくられ、社会の秩序が整備されていくことをさしています。
皇帝と対比されるカードは塔(タワー)のカード。2枚のカードに共通するのが、ささいなことでは揺るがない強さ、そして大胆さ。
その大いなる力で何がなされるかが大きく分岐する点です。皇帝は、国や社会、建物をつくって守ろうとしていきますが、塔は破壊を象徴するカード。
つくっても壊れるという、世の中の物質に対することわりをあらわすような2枚です。また、ソードのキングは、皇帝と同じような意味をもつ小アルカナです。
「皇帝」のキーワード
正位置
皇帝のカードが正位置で出た場合のキーワードは次の通りです。
統率、リーダーシップ、支配、責任、成功、達成、権力、威厳、安定、父、男性、指導力、決断、権威性、能動性、頼れる相手の出現、年上の相手、障害を乗り越える、父親への相談、スーツなど男性的なファッション
逆位置
皇帝のカードが逆位置で出たときは、次のようなキーワードになります。
傲慢、過信、暴走、横暴、自分本位、孤立、独裁、頑固、無力、消極的、意志薄弱、未熟、無責任、根拠のない自信、支配欲が強い、男性とのトラブル、パワハラ・セクハラ、プレッシャーに負ける、権威や肩書きをひけらかす
【恋愛】における皇帝の意味
正位置
片思いや気になる相手がいる場合は、積極的にこちらからアプローチするのがいいでしょう。ぜひ具体的な行動にうつしてみてください。自分の気持ちをごまかさずに、はっきりと気持ちをあらわすことでうまくいきそうです。
あなたが今思い浮かべる相手は、生涯をかけて愛したいと感じる相手でしょう。責任感が強く包容力も高い相手なので、順調な交際を経て、結婚へと話を進めていけそうです。
今の状況から一歩前進できるきっかけがあるかもしれません。ただ、自分の気持ちばかり優先してしまうと悪目立ちして孤立してしまうかも。恋愛ばかり優先にしないで、やるべきことはしっかりやりましょう。
逆位置
2人の関係や、ご自身もしくは相手が未熟な状態ということを示しています。計算高くなっていて、自分にメリットがあるかどうかで、相手を見てしまっているかもしれません。
自分勝手になっているので、責任をとらなくてもいいようにと適当な関係に甘んじているのかも。不真面目な態度がだだ漏れなこともあり、周囲からも、その誠意のない態度に不評を買いそうです。
もし関係がうまくいっている状態でもトラブルになりかねないので、自分の気持ちの上がり下がりよりも、周囲への気遣いを大事にしていきましょう。
結婚には当然ためらいがあります。覚悟がないので、愛情や真心が感じられない不安定な関係で終わりそうです。
【仕事】における皇帝の意味
正位置
今何か仕事を抱えているならば、それは成功をおさめることができそうです。あなたの情熱や意欲が周囲の人の心を動かし、勢いに乗って仕事が進められそうです。
自分には荷が重いと思っていたことに挑戦することで、思いがけずレベルアップできるかもしれません。気力も体力も充実してパワフルに事業を進めていけるでしょう。
本来の実力を発揮できて、お金も地位も信頼も勝ち取れます。バリバリのやり手と認識され、一目置かれる存在になりそうです。
困ったとき頼りになると、たとえ上司であってもあなたに相談がいくほどでしょう。
逆位置
仕事ときちんと向き合いきれず、「この仕事を成功させよう」という覚悟が決まらないまま、どこか真剣さに欠けています。そもそも仕事への意欲も覚悟もないことや責任逃れをねらう心根が伝わって、努力不足や実力不足がもろに目立ってしまうでしょう。
取り組む姿勢に一貫性がないので、周囲の人からの信頼も得られず非協力的です。また、「何が起きても責任をとる」というくらいの自信・責任感のなさから、指示が細かくなりすぎて同僚や部下はやりづらさを感じてしまうかも。
口だけの人と誰もついてきません。まずは自分を省みること。自己管理をしっかりして、普段のふるまいから改善していきましょう。
【金運】における皇帝の意味
正位置
お金について勉強して、きちんと正攻法で実行した人は、しっかりと成功することをあらわしています。自分のお金が一体何につかわれて、どこに流れていくのか見極めて管理するといい結果が出るでしょう。
決して、何もしない状態で大金が舞い込むような金運の良さではありません。ギャンブルはやめておきましょう。正しくかつ高い判断力で、将来を見据えた投資にかけるといいです。
ここで、準備をしっかりして知恵をもって使ったお金は、決して無駄にはなりません。今まで取り組んできたことがある人は、その努力が実るでしょう。また、成功した年配の男性から援助や支援をうけられるかもしれません。
逆位置
思いがけず自分の不注意で何か壊したり、自分の力ではコントロールできない出費を迫られたりしそうです。出費そのものも大きいですが、精神的にもかなり落ち込んでしまうでしょう。
仕事もうまくいかず、収入も見込めません。うまく行くときと行かないときの落差が激しく、収入が安定しないとの見方もあるかも。勝負運もよくないので、大きな決断をするのはやめておきましょう。
自尊心を保つためだけに、見栄をはったり、贅沢できる生活を装ったりするのもよくないです。財政を管理する能力に欠けている場合があるので、一度専門家に相談するのがベストでしょう。
「皇帝」が「過去」で出た場合の意味
正位置
強い意志と責任を持ってリードしていました。自信があり、真正面から正直に告白して、大成功でした。
野心を持ち、目標に向かって正しい道を歩んできました。信頼し、全てを委ねて間違いない人でしたね。正しい進み方です。
逆位置
我儘で自己中心的な態度で、強引で配慮に欠けた言動でした。実行力の誤用をしていたようですね。
自信が持てず決断もあやふやな為、到達できなかった所があるようです。確信を持てないまま、恐る恐る進めていました。
「皇帝」が「現在」で出た場合の意味
正位置
自信を持って進めてゆこうとしています。信頼できる、頼りがいのある男性です。責任感があり力強い男性です。
リーダーシップがあり、人望もあります。統率力に優れ、間違いない方向へ指導してくれるでしょう。しっかりと守ってくれる人ですね。
逆位置
自尊心が高く、自信過剰になっていませんか。相手に対して支配欲が強くなり、疎ましく思われているかもしれません。ワンマンで周囲の空気を読めていない言動になっています。
「皇帝」が「未来」で出た場合の意味
正位置
男性側のリードに任せて吉でしょう。強い意志を持ってアプローチすることになるでしょう。勝利できるでしょう。
そのまま真っ直ぐ目標へ向かえば達成できるでしょう。目指している方向は間違っていませんので、そのまま進んで下さい。
逆位置
自惚れが過ぎてしまい、強引で勝ち目のない戦へ出てしまう危険があります。
自分自身の弱味を知らずに暴走してしまいそうです。自信が持てない、信念がブレています。相手の気持ちを考えない利己的なやり方です。
「皇帝」が「障害/問題」で出た場合の意味
正位置
目上の男性から反対をされるかもしれませんが、正当な理由からのようです。責任者がネックになって進めにくいかもしれません。
男性的なアプローチでは進展しないようです。他の男性からのストップや横やりが入るかもしれません。
逆位置
相手からやや強引な印象を持たれています。支配的で優位に立とうとしていませんか。責任逃れはダメですね。
頼りない人に見えているようです。自信が無く思い切った行動へ出れません。恐怖心から、やるべき事ができていません。
「皇帝」が「結果/最終結果」で出た場合の意味
正位置
男性側のリードによって、上手くいくでしょう。人望があり、皆を先導できるでしょう。真っ直ぐに成功へ向かっていきます。
良き指導者が現れ、付いて行く事になるでしょう。しっかり責任を持ってパートナーを守ってゆけるでしょう。
逆位置
自信が持てず、あと一歩が踏み切れません。もうゴールは直ぐそこですが、怖気付いてしまいました。
自信過剰になってしまいそうです。信頼し辛い印象を抱かれてしまうでしょう。強引に思われて、相手は付いて来なくなりそうです。
「皇帝」が「助言/対策/アドバイス」で出た場合の意味
正位置
自分を信じて、勇気を持って進んで下さい。強気のアプローチが成功しそうです。もう少し正々堂々としましょう。
今のままで何の問題もありません、そのまま胸を張ってアクションを起こしましょう。思っている以上にパワーが出そうですよ。
逆位置
身近にいる男性の反対や妨害に負けずに頑張りましょう。少々強引と思われるやり方も、今回は必要となるかもしれません。
不評を買う利己的な進め方をしないと、乗り越えられないかもしれません。もう少し控え目に、弱い目にアプローチしましょう。
まとめ
皇帝は、社会に集う人を導いて統率するリーダーのふるまいを意味します。人の上に立つ者ゆえに、他人に意見を左右されない意志の強さ、人をあてにできない孤独感を抱えているもの。
そんな独裁的な姿に圧倒されたり、どうしようもなく憧れられたり、脅威に感じさせたりしてきた姿が読み取れます。
シンプルに、オーソドックスな男性のネガティブな部分、ポジティブな部分で読み分けて問題ありません。
正位置は感情に溺れず強い意思で自らをも制するタフネス等、男性性のポジティブな強さが前面に出て来ます。
まさに男性の、フィジカル及びメンタルのエネルギー双方が、ポジティブに正しく現れた場合です。小細工でどうこうするのではなく、野球で言うと直球で勝負している状態です。
真正面からの挑戦、取組み、公明正大な様子が見てとれます。逆位置は男性的な強さが裏目に出ている様子です。パワーの誤用や、暴走、コントロールが効かない怒りの感情やひとりよがりな言動等もこの逆位置です。
自信が持てず恐怖心から石橋を叩いて潰してしまうような臆病さや小心者の姿も表します。自制心や克己心を感じられない弱い男性で、無駄な意地っ張りや強がりもこのカードの逆位置で出て来る事がよくあります。