中央には、玉座に深く腰かけた王様が描かれています。他のキングのもつ威厳や野心、決断力は感じられず、表情はとても穏やかに見えるでしょう。
カップのキングは、偉そうに権力をふりかざし、上から抑え込むようなことはしません。感受性が豊かで、思いやりや優しさにあふれた人物。相手がどんな立場でも、心からの声を見抜き、受け止める器の大きさがあります。
その人間的な魅力に、誰からも信頼され愛されているでしょう。また、玉座はまわりを海に囲まれ、その波は荒れているように見えます。
王様の後ろには、海から飛び跳ねる魚や、荒波にも負けず帆をはる船の姿も。激しい波の動きを楽しむ余裕や、積極的で情熱のこもった行動力をあらわしているのでしょう。
「カップのキング」の位置づけと基本的な読み方
カップのキングは、カップのナイトに強くあらわれていたロマンチックさや情熱、遊び心も忘れてはいません。
でも、歳をとり成熟した考えをするようになっているため、立場や責任をわきまえた行動にとどまるでしょう。自分の内なる大きな感情の波は、表面にはださないようにふるまいます。
もともと感情豊かなので、そのことが人を思いやれる思慮深さにつながり、ふところの広い人物と周囲から頼られる存在です。
位置別の「カップのキング」の読み方
カップのキングは、ふところの広さをあらわすカードです。正位置では、心に余裕をもち、悠然とものごとに対応できる状態を、逆位置では、相手によって意見や態度を変え振り回されてしまう状態を示しています。
「カップのキング」が「過去」で出た場合
「カップのキング」が正位置
かつてはすべてを切り抜けられる心境でした。何事も適切に対応でき、すべてを肯定できたでしょう。
すべてのものに終わりは来ると静かに悟り、ものごとの移り変わりを穏やかに眺めていたのでは。
本来ならばそんないい運気なのですが、もしそうでなかったとしたら、何でも受け入れようとしすぎたせいかもしれません。がんばりすぎには注意が必要なときでした。
「カップのキング」が逆位置
過去には、「バレなければいい」と思って自分の意見や信念とは違うことをしてしまうなど、誤解を招くような態度をとっていましたね。
また、迷いを多く感じる状況が多く、自分の考えすら信じられなくなってしまうようなこともあったのではないでしょうか。
なにもかも退屈に感じ、時間を持て余し気味だったでしょう。
「カップのキング」が「現在」で出た場合
「カップのキング」が正位置
何が起こっても、状況に応じて適切に対応できます。器の大きさが生かせるときです。自分の心の弱さも、相手のことも、すべてを肯定し、すべてを受け入れられるでしょう。
ものごとの裏事情まで考えることができ、どこか達観しているかのようです。一歩離れたところから、冷静に判断できるでしょう。
「カップのキング」が逆位置
何か後ろめたいことがあるかのような誤解を招くような行動や発言が目立ちます。自分の意志をもって始めたことも、途中で自信がなくなって、迷った末に行ったり来たりを繰り返してしまうかもしれません。
また、バレないように手を抜いたり、余った時間を怠惰に過ごしたり、無益に過ごしてしまうでしょう。
「カップのキング」が「未来」で出た場合
「カップのキング」が正位置
芸術的な才能が目覚めるでしょう。アート、デザイン、音楽や文学など、内なる感情を表現できるクリエイティブな活動が始められそうです。
始めるにあたって、強力なサポーターを得られるでしょう。よき理解者を得たおかげで、これまで歩んできた道とはまた違う、新しい道に歩みを進めていきます。
「カップのキング」が逆位置
自分にとって楽な方に進んでいってしまうでしょう。その場しのぎに発言するため、言うことに一貫性がなかったり、怠け癖が抜けなかったり、そのままにしておくと周囲からの信頼はどんどん薄れていきます。
自分だけが得をするようなずる賢い考えにとらわれて、他者への思いやりを忘れていまうかもしれません。当初の決意からはブレていきそうです。
「カップのキング」が「障害/問題」で出た場合
「カップのキング」が正位置
何でもかんでも受け入れようとしすぎで、問題が起きているかもしれません。現状をきちんと見極められる状態なので、受け入れるもの、受け入れられないものをしっかりわけて考えましょう。
自分の許容量をもってしても、世の中には対処できるものとそうでないものがあります。また、裏表のない潔い態度が、裏目に出ていることも考えられます。
あからさまな態度は、相手によっては反感を買うものになってしまいそうです。
「カップのキング」が逆位置
自分にも他人にも甘すぎる傾向があります。もう少し現実に則した考えをもって、自分を律し他人にも苦言を呈するようにしなければ、問題は解決しないでしょう。
また、裏表のある素行で周囲からの信頼が落ちていることも、問題の原因になっているかも。
人を選んでいい顔をしたり、自分にメリットのある人物を優遇したり、えこひいきが目立ちます。自分を客観的に見て、行動をあらためましょう。
「カップのキング」が「結果」で出た場合
「カップのキング」が正位置
お互いに心の支えになるような幸せな関係を築けるでしょう。穏やかで居心地が良く、安心感に包まれます。お付き合いしている段階でも、まるで家族のような愛おしさを感じることでしょう。
お互いがお互いを尊重していて、よき理解者となる暗示もあります。また、温厚な男性に縁があるかもしれません。
仕事面では、アットホームな職場で、思い通りの報酬を得られます。寛大な上司に恵まれ、一生懸命な部下の成長を見守るでしょう。
「カップのキング」が逆位置
信用できない相手と縁が結ばれています。だまされていたり、浮気されていたりするかもしれません。場面ごとにころころ言うことが変わる、うさんくさい男性に惹かれてしまう時期です。
そういう相手と自分では見極められないように、自分の見たいことしか見られない状況にあるので、充分な注意が必要です。
八方美人になって、自分が浮気を疑われないようにも気をつけて。仕事面では、わいろや脱税の発覚、経費のごまかしなどが表ざたになりそうです。労働力を搾取するような職場に気をつけましょう。
「カップのキング」が「助言」で出た場合
「カップのキング」が正位置
誘惑に負けたり、感情的になってしまったりしないで、自制心を忘れずに過ごせると良いでしょう。状況への賢明な判断、他人への正しい支援ができるようにするには心がけが必要です。
とはいえ、物事にはリラックスして臨むことが成功に近づく方法です。味方をしてくれる人はあなたの側にいるはず。
「カップのキング」が逆位置
損して得をとれという言葉があります。自分が少し損をしてでも何かを得ようとがんばりましょう。周囲の意見に影響されすぎて、いつのまにか芯のない発言やブレた行動になってしまいそうです。
意見がころころ変わらないように注意して。客観性を忘れないように気をつけるべきです。何よりも、自分の意志や信念に嘘をつくような態度はやめましょう。
まとめ
カップのキングは、未熟だったペイジやナイトからは大きく成長した器の大きな人物として描かれています。
カップのもつ感受性の高さ、人に寄り添う心を成熟させ、どんな人も、どんな人生も受け入れて対処できます。このカードがもつ人物像は、周囲の人のために尽力できる、穏やかで成熟した男性という印象です。
部下の幸せを見守る寛大な上司という可能性もあるでしょう。多くの人を守るために剣をふるう王様もいれば、カップを酌み交わし言葉を尽くして信頼を得る王様もいるということ。
一見、柔らかい物腰で頼りないようにみえるかもしれませんが、彼のすごいところは優しさ屋穏やかさだけではありません。
相手の求めるものを見抜く洞察力や、人のために行動する情熱、人に適切な支援ができる知恵や寛大さがそなわっています。
このカードがでたときは、自分に自信をもち、周囲からの信頼にさらにこたえていける状況だと自負していいでしょう。