玉座に座り、カップを静かに見つめる女王が描かれています。女王が両手で持つカップは、他のカップのカードで出てきたカップとは違い、ふたがついていて装飾が豪華です。
一見、カップなのかわからないくらいの華美な装飾は、このカードがとりわけ感受性が強く、芸術性が高いことをあらわすといいます。
また、カップにふたがしてあるのは、入った毒が外に出てしまわないようにするため。女王は、誰かのためなら自分が毒を飲むのもいとわない、度が過ぎているとも言っていいほどの優しさの持ち主です。
また、ふたが閉じられたカップを見つめる姿は、相手が心に秘密を抱えていることを察知する深い洞察力と共感性が読み取れます。
また、自分の内なる声に耳をかたむけ、内省しているという意味も。女王が着ているドレスは、海や大地とつながっているように描かれています。
これは、すべてを受け入れられる母性のあらわれです。無条件の愛を他人に注ぐことができる人物ともいえます。
「カップのクイーン」の位置づけと基本的な読み方
カップのクイーンは、他人への愛が無限に溢れでる、優しい心の持ち主です。どんな人にもわけへだてなく、思いやりと愛情をもって接することができます。
他人を想い心を震わせたり、時には涙を流したりと、人に寄り添う優しい女性の姿が想像できるでしょう。
正位置では、人を救いあげる優しさを、逆位置では、自分自身が落ち込んでいく様子が読み取れます。
位置別の「カップのクイーン」の読み方
人の感情に親身になって寄り添ったあと、自分がどういう行動にでるかを、正逆でみていきましょう。
正位置では、人の心の深いところまで気持ちを汲み、共感して受け入れられます。逆位置では、人の感情に引っぱられすぎて自分が保てない状況になりそうです。
「カップのクイーン」が「過去」で出た場合
「カップのクイーン」が正位置
かつては、心がとても落ち着いていて穏やかに過ごせる状態でした。他人のことも充分に思いやることができ、ありのままに受け入れられるほど、心が安定していたでしょう。
他人のしてしまったミスも許しフォローできるときでした。自分の感情や意志を抑えすぎていた場合は、よくない結果に終わってしまっていたかもしれません。
「カップのクイーン」が逆位置
自分のふがいなさに、もうどうしようもなく感傷的になっていました。誰にも打ち明けられず、不安に支配されていたでしょう。
自分に確固たる信念や意志が見出せず、己を見失っていた状態でもあります。そんな状況から、冷静に考えることができずに、どう行動を起こしていいかわからなかったのかもしれません。
「カップのクイーン」が「現在」で出た場合
「カップのクイーン」が正位置
自分の中心にしっかり芯がある状態で、他の人の話をきちんと聞き他者の心を理解できる時です。周囲の状況を思いやれる余裕があります。
人と人の間のトラブルなど間に入って仲裁したり、相談にのることが多くなるでしょう。また、人の失敗や過ちを快く許せます。
心がとても安定していて、物事をありのままに受け入れられる運気です。
「カップのクイーン」が逆位置
不安を抱え感傷的になりがちです。人に迷惑をかけるかもしれない、自分に自信がもてないなどが理由で誰にも心がひらけない状況かもしれません。
本当はすがりつきたいくらいの心境なはず。周囲の人は心配して手を差し伸べてくれる状況なのに、とても繊細な状態になっているために身動きがとれません。
「カップのクイーン」が「未来」で出た場合
「カップのクイーン」が正位置
精神力が高まり、スピリチュアルな力が発揮されるかもしれません。第六感が働いたり、不思議な話を体験したり、直感で決めたことが大当たりするなどしそうです。
まるで神様に導かれているような体験をしたり、冴えている感を頼りにしたりすることもあるでしょう。感覚が研ぎ澄まされ、芸術やアートを今より一層楽しむことができます。
「カップのクイーン」が逆位置
人に甘えて依存していたいという気持ちから、人と行動をともにするようになるでしょう。自分で責任をとれない、とりたくないという心がまえでは、せっかくの考えも行動にはうつせません。
はっきりしない態度で、周囲からは呆れられてしまうかも。また、人に頼りきって自分の頭で考えることを放棄したがために、人の本心が見抜けずに騙されてしまうことも考えられます。
「カップのクイーン」が「障害/問題」で出た場合
「カップのクイーン」が正位置
とても繊細な状態で、感情的になりすぎているのが問題の原因でしょう。情緒不安定になることも多く、周囲の人を巻き込んでトラブルに発展しやすいです。
また、相手を「愛そう」「愛さなくちゃ」と無理をして、自分の本来の感情を抑えている場合もあります。あなたの感情まで相手に合わせなくてもいいんですよ。
「カップのクイーン」が逆位置
ものごとの本質に気づけず、現実をありのままに見ることができません。歪んだ見方になっている可能性もあります。このままの偏った考えでは、問題は解決しないでしょう。
また、頭で考えるとわかるのに、なんとなく納得できないことも起こります。気持ちの面で納得できていないのでしょう。
なかなか心の調和がとれないことが障害になって立ちはだかるかもしれません。
「カップのクイーン」が「結果」で出た場合
「カップのクイーン」が正位置
母性が目覚め、相手を愛おしく思い支えていきたい気持ちが湧いてきます。今までそばにいたパートナーを、これ以上いない最愛の人と感じるでしょう。
心の奥深くでつながるような、精神的な結びつきを感じます。また、よく微笑む愛情豊かな人に縁がありそうです。
一緒にいて心癒される人、外見だけではなく、心も清く美しい人がキーパーソンになります。
仕事面では、あたたかい職場に恵まれ、柔軟な対応ができるでしょう。懸命に仕事に打ち込める環境です。
「カップのクイーン」が逆位置
情熱やときめきを感じないまま、なんとなくで付き合いがはじまりそうです。
また、結婚適齢期や体裁など周囲に決められた価値観に気をとられたり、相手を自分のものにするための幼稚な所有欲など、自分の未熟な考えから結婚を焦って決めてしまったりしてしまうでしょう。
愛がない結婚になる可能性も。また一方で、移り気な人や恋多き人に振り回されてしまう時期になりそうです。
仕事面では、周囲にうまくつかわれてしまったり、アイデアが埋もれてしまったり、不当な扱いを受けるかもしれません。
「カップのクイーン」が「助言」で出た場合
「カップのクイーン」が正位置
言葉をそのままただ受け取るのではなく、相手の本心を見抜くように心がけましょう。「今の言葉の意図は…?」と複数考えられるといいです。
また、本心や意図がどんなものでも言及するのではなく、優しい心で受け止めてあげることが必要です。
あなたにとっても、相手にとっても、癒しの時間をもつことが大切でしょう。
「カップのクイーン」が逆位置
わけもわからず、ただ信じるのは危険です。気をつけないと、立場が上の人や発言力の強い人の言いなりになってしまうでしょう。
自分の頭で考え、判断することをあきらめないでください。また、人に共感することや心を許すことは悪いことではないですが、なれ合いにならないように気をつけましょう。
本当に大切なことを見失わないように、今を大切にしてください。
まとめ
カップのクイーンがあらわすのは「無償の愛」。まるでお母さんのような深い愛情を他者にかたむける姿が想像できます。他者に寄り添う慈愛をあらわすカードです。
どんな相手にもわけへだてない愛情を捧ぐことができるでしょう。愛情豊かな人、一緒にそばにいるだけで癒される人、身も心も清く美しい女性、しっとりした雰囲気の人という人物像が浮かびます。
あふれでる愛を、涙や感動で示し共感できます。キングのカードでは感情をあえてださずにものごとを粛々と進めていきますが、クイーンは、共感し相手を受け入れる、寄り添う意味が強いカードです。
深い愛情が、誰かの支えになったり、人に安らぎをあたえたりするでしょう。