天使が2つのカップ手に持ち、入った水を器用に入れ替えしている様子が描かれています。「節制」は、ラテン語で「混ぜ合わせる」「結びつける」という意味から由来するカードです。その手に持つ水の行き来は、人間同士のコミュニケーションを表しています。2つのものを結びつけて、通わせることで生まれる、人と人とのつながり方を表すカードです。
「節制」の位置づけと基本的な読み方
このカードの基本の意味は「統合・バランス」です。異なるものを混ぜ合わせたら新しいものが生まれたり、混ぜ具合を調整して変化を促したりもできるでしょう。まったく違う人間と関わることで新しい関係や考えが生まれたり、気づきを得られたりする、そんな人間同士の関わりの大切さを示しています。
位置別の「節制」の読み方
正位置では、他者からの影響を積極的に自分に取り入れていこうとすることを、逆位置では、他者に対して受け入れられない姿勢を暗示しています。それぞれの位置での意味合いを見ていきましょう。
「節制」が「過去」で出た場合
正位置
かつては、人との関わりから自分の中で化学変化が起きるような影響を受けやすい状況でした。新しい発見、再構築される考え方、その中でちょうどいいバランスをとることを意識してきたのではないでしょうか。人と積極的に関わることで、いろんな人の意見を参考にしようと思ってきたのでは。
「節制」が逆位置
少し前までは、人の意見を聞いているふりをして自分の考えを押し通してしまう強引さを抱えていました。すれ違いや衝突も多く、何においても混じり合いにくい状況だったと思います。また、合わない環境に身をおいていたのかもしれません。相当無理をしていたのではないでしょうか。
「節制」が「現在」で出た場合
「節制」が正位置
心がオープンになっているので人との交流で素直に気づきを得られます。他者の意見を汲み取り、自分の考えを再構築できる機会にもなるでしょう。自分らしくのびのびいること、相手にもありのままの状態でOKとすることで、新しい発見ができたり、ちょうどいいバランスに調整できます。
「節制」が逆位置
他者の意見や考え方を受け入れない、かたくなな姿勢になっています。その姿勢ゆえに、そもそも人に会うことを避けていたり、すれ違いや衝突が多かったりするでしょう。または、自分には合わない環境に身を置いている可能性もあります。
「節制」が「未来」で出た場合
正位置
慣れきった日常に疑問を投げかけてくれる相手との出会いが、今とは違う新しい考えをもたらしてくれるでしょう。似たようなものを1つにまとめたり、過剰なものを調整したりすることになるかもしれません。
「節制」が逆位置
せっかくのチャンスをものにできず、期待はずれの展開になりそうです。1歩進んでは2歩下がるような、自分では納得のいかない消化不良な状態でしょう。他者への拒絶反応も異常なほどになっているかも。生活の乱れから体調を崩すかもしれません。
「節制」が「障害/問題」で出た場合
「節制」が正位置
問題の原因となっているのは、他者の意見に影響されすぎて自分の軸がブレていることにあるかもしれません。なんでもかんでも人の意見を参考にすること、そのたびに関心を広げすぎることなど、思い当たることがあったら「自分はどうしたいのか」を考えてみましょう。
「節制」が逆位置
相手に対する理解不足が問題の原因かもしれません。わざわざ言わなくてもわかるだろうという思い込みから、会話が不足してはいませんか?自分の期待だけを押し付けても相手には届かないものです。ただ、もともと話がかみ合わない場合は、相性が悪いのかも。結びつきが弱いのは、仕方ないことと諦めるのも得策でしょう。
「節制」が「結果」で出た場合
「節制」が正位置
交際は順調に進むでしょう。心身ともに良い相性で、お互いに理解し合う努力ができる関係です。出会いを求めている人は、知性を感じる人と縁がありそう。仕事では、仲間との積極的なコミュニケーションが大切です。
「節制」が逆位置
どちらか一方が自分のことを優先し、相手を振り回す関係になってしまいそうです。もしくは、なかなか進展しない一方通行の恋で終わってしまうかも。相手の話を聞ける状態になかったり、心をひらけるタイミングを失ったり、すれ違いが多いでしょう。仕事は、自分1人で仕事を抱え込み孤立しそうです。
「節制」が「助言/対策」で出た場合
「節制」が正位置
まずは他人との関わりで出てきた、自分の中の違和感に気づいて折り合いをつけることが先決です。自分だけが折れるような道ではなく、相手との妥協案を探ってみて。考えることをやめずに、「ちょうどいい」状態をめざしましょう。あなたなら、きっとできるはずです。
「節制」が逆位置
自分の殻に閉じこもらず、相手を理解するための会話を重ねましょう。どんな事象も、どんな人が相手でも、最初から否定するのではなく、まずは興味をもって接してみることが大切です。自分1人では無理そうな人は、協力者を見つけて手助けしてもらいましょう。
まとめ
「節制」は精神性を表すカードとも言われています。自分のペースで物事を進めていくことの大切さ、白黒はっきりつけないこと、変化の途中を表すカードです。自分らしい状態で新しいものごとを受け入れ、異なる価値観に出会っても否定せずに理解を示す姿勢を表しています。そして、ただただ受け入れるだけではなく、会話を重ねて自己主張することもまた、必要なことなのです。自分と相手の意見を対等に取り入れて、精神的な成長が遂げられるのでしょう。