こんな方におすすめ
- タロット占いを勉強しているけど、簡単にタロットの歴史を知りたいな。
- タロットカードっていつできたのかな。
- タロットの歴史を調べたけど、よくわからない。図解して欲しい。
という疑問を持つ方に向けた記事です。
この記事はtwitterでも紹介したところ占い師の方々に好評でした。参考図書の著者である鏡リュウジ先生からもコメントいただいています。
月影さん、ありがとうございます。わかりやすいまとめ!本の付録につけたいくらい😃
レビューを見ていると新書レベルの文章でも読み慣れていない方もおられるようなので、このまとめ、タイムラインを横において歴史部分を読みすすめていただければいいんじゃないかな。(と本は買えという。汗)— 鏡リュウジ (@Kagami_Ryuji) April 14, 2020
最初に結論から言えばタロットカードは13世紀頃から存在し、18世紀にタロット占い師が登場し、タロット占いとして使われ始めたのは19世紀に入ってからですね。
結構プロの占い師の方も知らなかったりするんですが、タロットってあまり歴史が古くありません。
でも、タロット占いが最近なのとタロットカードの登場は別物ですので、そのあたりを踏まえて簡単に説明します。
まずは簡単なタロットカードの歴史の流れ、タロット占い師は18世紀から
タロットの歴史を調べると難しい横文字がたくさんあったので簡単にまとめました。
講座をひらく等のときに資料として使いたい場合はご自由にお使いください。
基本的にまとめたときに主に使用したのは鏡リュウジ先生のタロットの秘密(講談社現代新書)です。
いい書籍ですので、是非皆様読んでみてください。値段的にも1000円以下でお得です。
専門的には色々あるでしょうが、以下ぐらいのざっくりでとらえておけばよいかと簡略化してみました。
ポイント
①タロット創世記ゲーム利用時代 13世紀~15世紀
②マルセイユ版ゲーム利用時代 15~18世紀
③古代エジプト起源説による秘教化時代 18世紀
④カバラと紐づけ秘密結社時代 19世紀
⑤黄金の夜明け団時代 20世紀最初←占いで使った
⑥ポジティブ精神世界と融合時代 20世紀
この6段階の流れがタロットカードの歴史です。
この中で現代風の占いとして一般的に使われ始めたのは⑥って感じですね。
簡単にいいますと
すごく簡単な歴史説明
- 貴族のゲームとして使用されてたタロットが…①②
- エジプトとタロットが関係あるんじゃないかという話になり…③
- 怪しい人がタロットを古代ユダヤ教のカバラ信仰と結びつけはじめ…④
- さらに怪しい秘密結社が怪しげなカードとして作り上げ…⑤
- カードからポジティブシンキングでいい意味を受け取ろうと始めた人がいて…⑥
- みんなが自分でタロットを作り始めた
という感じです。
さすがに簡単すぎますので、もう少し詳しくお話しします。
歴史①:タロット創世記ゲーム利用時代 13世紀~15世紀
歴史上一番最初のタロットカードはどれだという話ですが、ヨーロッパではなくトルコにあったマムルーク・カードというのが一番古そうです。
この頃タロットと言っても52枚しかありません。
柄がゴージャスな感じですね。
その後にトルコとヨーロッパとの交流の中で、タロットもヨーロッパに伝わっていったのでしょう。
その後、出てくるのは有名なヴィスコンティー・スフォルツァタロットというのでイタリア(ミラノ)の名家で製作されたものです。
これは復刻版が販売されてますね。
この頃基本的には賭博的なゲームで使用されるものであって、占いで使用されていません。
そもそもキリスト教は占い禁止ですので、占いが流行ることはないのです。
歴史②:マルセイユ版タロットゲーム利用時代 15~18世紀
その後、マルセイユ版のタロットが流行りました。
これもゲームとして使用する用ですね。印刷技術もあがってる時代ですので。
このころにイタリアで製作されたソラ・ブスカ家のタロットは78枚そろっているのがわかってます。
今のタロットの78枚の数がこのときにそろってますね。
このタロットは後程黄金の夜明け団のライダー版作者のパメラさんが参考にしたものです。
で、この時代に作られたマルセイユ版であるニコラス・コンバーさんの作った作品が今販売しているマルセイユ版のもとです。
このあたりまではカードゲームとして利用されていたものの、なんだか以降様相が変わってきます。
歴史③:古代エジプト起源説によるタロット秘教化時代 18世紀
クールド・ジェブランさんという人がタロットは古代エジプトと関係あるとか言い始めます。
原書世界第八巻という出版物でタロットエッセイがあるようですね。
タロットの戦車のカードは古代エジプトのオシリスを示しているのだとか。
上記はマルセイユ版ですがこの人がオシリスという話ですね。
この時代、ヨーロッパでは古代エジプトが流行っていたとのことです。
さらにはついにタロットでの商業占い師がついにあらわれはじめます。エテイヤさん(本名ジャン=パプティスト=アリエッテ)です。
ここにタロット占い師の歴史が始まるわけです。
タロットと呼ばれるカードによって楽しむ方法なんて本も出版しました。
エテイヤ版タロットも出版してます。これもレプリカ的なのが今も売ってますね。
爽やかな感じのカードですが、エテイヤ版は78枚ありますが、そのまま素直にマルセイユ版とは対応していないので、今の人がこれで占うにはちょっと文献不足で厳しいかも。
ここからさらにタロットカードは怪しいものと融合していきます。
歴史④:カバラと紐づけ秘密結社時代 19世紀
エリファス・レヴィというフランス人が怪しげな書籍として、高騰魔術の教理と祭儀というのを出版します。
この人はユダヤ教の教えのカバラを取り入れ、カバラで重要な位置づけである生命の樹とタロットを紐づけたのです。
これでようやく今時のタロットを教える人がカバラとタロットは関係あるという話の元ネタがわかりました。
参考までに、カバラはヘブライ語で受入とかの意味です。
まあ、後述の黄金の夜明け団でもしっかり関連付けさせていきますが、出どころはこの人です。
で、その後に
ポール・クリスチャン(本名:ジャン=パプティスト=ビトワ)がテュイルリーの赤い人という書籍を出版します。
この方は上のレヴィさんから影響受けた上での出版でして、初めてアルカナという言葉を使ったんです。
あの大アルカナ、小アルカナのアルカナですね。ラテン語で秘密の意味ですね。
で、薔薇十字団というのがこの時代登場してまして、薔薇は秘教を指し、十字はキリスト教を指すという、
まあフリーメイソン系の神秘的な団体ですね。
なお、この時代は秘密結社が続々と登場しており、特に重要なのは神智学協会で、ここに所属していたメンバーが神智学協会の東宝系に嫌気がさしヘルメス教会を結成し、あの有名な黄金の夜明け団につながっていきます。
歴史⑤:黄金の夜明け団時代 20世紀最初
薔薇十字団のパピュスさんがボヘミアンのタロットというのを発表して、大アルカナという言葉を一般化しましたが、時代は黄金の夜明け団にうつっていきます。
さっきの薔薇十字団のメンバーやヘルメス教会が関係して黄金の夜明け団を作るのにかかわってたんですね。
黄金の夜明け団はゴールデン・ドーンともいいます。
設立は、ウェストコット博士(ヘルメス教会、英国薔薇十字団)、マサース(ヘルメス教会、英国薔薇十字団)、ウッドマン博士(英国薔薇十字団)の3人でおこないます。
※英国薔薇十字団はフリーメイソン限定
ウェストコット博士が重要な文書(暗号文書とよばれる)を捏造したのをマサースがばらすとか、後から入ってきたアレイスター・クローリーが無茶をするなど、あって黄金の夜明け団は長持ちしません。
ですが、儀式を重んじたシステムは秀逸だったため、後世に影響を残すものとなりました。
カバラと関係した教義を作るのにはウッドマン博士がかなり強力だったようです。
また、マサースは「タロット、そのオカルト的意味、占い術、遊び方」という本も書いてます。
このとき小アルカナのペンタクルの言葉が導入されてます。
この黄金の夜明け団はまたフリーメイソン系の団体ですが、今となればの有名人を何人か抱えてました。
で、あの有名なライダー版(ウェイト・スミス版)出版されました。
ライダー版の戦車
そもそもタロットカード自体はイギリスには流通しておらず、フランスやイタリアにはありました。
それで自分の国のものとして出版されて売れたのがライダー版ですね。
監修アーサー・エドワード・ウェイト
ウェイトは物書きな人で、一応それなりの地位だったので、黄金の夜明け団が分裂し始めた後は、独立改定儀礼を作り解散(実践魔術をやりたくなかったので)、そののちに薔薇十字友愛会という団体を率いていました。
作画:パメラ・コールマン・スミス
なお、この二人はウェイトは黄金の夜明け団の中でそれなりの地位ですが、パメラはそれほどではありません。
個人的にはパメラ・コールマン・スミスと宇多田ヒカルが似ていると思うのは僕だけでしょうか。
パメラは白人らしからぬ浅黒い肌だったと記録があり、母親は?何人という感じがあります。
なお、父親は日本の浮世絵をコレクションしており、パメラも影響を受けたという話もあります。
パメラの功績はこれまで小アルカナが覚えにくいアイテムの数だけで表現されてたのが、小アルカナにも絵を入れました!ってのが大きいでしょうね。
なお、絵描きさんですが残念ながら絵で有名になり食べていくのは苦労していたようで、後の時代にこれほど自分が描いたタロットがうけるとは思っていなかったでしょう。
で、同じ黄金の夜明け団の人であるアレイスター・クローリーさんが監修で作ったのがトート版。
トートタロット
アレイスター・クローリー
ちょっとオカルティックな絵柄でライダー版とは違う雰囲気ですがこちらも人気の作品です。
作画はレディ・フリーダ・ハリスさんです。
なお、アレイスター・クローリーさんは熱狂的なファンが有名人にも多く、ビートルズのジャケットに入っていたりとか、レッドツェッペリンのジミーペイジも大ファンだったとか。
なお、この時代に何気にマルセイユ版を復刻して販売していた会社がグリモー社です。
マルセイユ版の戦車
この時代日本にもタロットの話が伝わりつつありました。
第2次世界大戦のちょっと前な感じですね。
で、こんな怪しげな方向性で使われてたタロットですが、そのうち風向きが変わってきます。
黄金の夜明け団とウェイト版、トートタロットの関係については下のリンク先に細かく書いてあります。
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黄金の夜明け団とタロットとの関係|ウェイト版・トートタロットの秘密
タロットカードのうち、ウェイト版タロット(別名ライダー版)やトートタロットを解き明かしていくと「黄金の夜明け団」につながります。 オカルトや占い好きな方は、もうすでに知っているかもしれませんね。 英国 ...
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歴史⑥:ポジティブ精神世界と融合時代 20世紀
イーデン・グレイ(本名:プリシラ・バードリッジ)というタロット占いの母と呼ばれる方が、小難しいタロットの本を簡単にみんなに伝えてくれました。
ここで使用したカードがライダー版。
幻の3部作と呼ばれる書籍が下記ですがアマゾンで普通に売ってます。
1.啓示タロット
2.皆伝タロット
3.自在タロット
この人はタロットをポジティブな解釈で書いてたのがよかったのです。
ニューエイジと呼ばれる引き寄せの法則思想をタロットに入れた感じです。
で、それが流行って、みんながタロットをやりだしたら、オリジナルタロットをみんなが作り出したという流れです。
アルケミアタロットや、Osho禅タロット等。
なお、結構書籍で出されてて、僕も持っているレイチェル・ボラックさんの本とか読んでると、最初の方にイーデングレイの書籍を。。。というくだりがあったりします。
タロットの歴史に関するおすすめ書籍
タロットの歴史について書籍で詳しく学びたい人向けにご紹介しておきます。
タロットの秘密 (講談社現代新書) | 鏡 リュウジ | この記事の主な参考図書となります。1000円以下でこの内容はすごくお得です。Kindle版もあります。 |
タロット大全―歴史から図像まで (日本語) 伊泉 龍一 (著) | 大作で詳しく書いてあります。著者の考え方が歴史を書いているながらにも透けて取れて、ちょっと楽しいですが、初心者の方は読み切るのには苦労するでしょう。 |
タロットカードとタロット占いの歴史のまとめ
というところで主にタロットカードを占いで使用し始めたのは黄金の夜明け団以降で100年ぐらいしかたっていません。
ただタロットカードという意味では古くからあります。
そのタロットカードに秘密的な意味が追加されていったと考えるのが妥当な感じでしょうか。
でも今やタロットはカバラなりエジプトなり色々な考え方が紐づいて神秘なカードになっています。
占い勉強中の方も、プロの占い師もタロットの歴史を知った上で占う方がより深みがでるかもしれません。
もし、タロットカード78枚の中身について興味を持たれた方はこちらの記事も参考にしてください。
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【図解、初心者向け】タロットカードの種類と構成。大アルカナと小アルカナを簡単理解。
こんな方におすすめ タロットカードってライダー版、ウェイト版とかマルセイユ版とか種類がたくさんあるけど、どうして? タロットカードで一番人気なのは? タロットカードって結局何枚あって、全部同じ枚数? ...
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